歯のフッ素症の原因と症状
2020年8月8日
フッ素症により変色した歯
フッ素は、歯の再石灰化を促し、歯質を強化する物質ですが、過剰な摂取を続けると歯に対して有害な作用をもたらすことがあります。その代表が「歯のフッ素症」です。
歯のフッ素症とは、フッ化物による慢性中毒にあたるもので、フッ素が含まれた水道水などを長期間、飲用することで発症します。そうした水道水へのフッ化物添加(フロリデーション)は、基本的に日本で行われていないことから、歯のフッ素症のリスクも極めて低くなっています。
それでは、一定濃度のフッ素が溶け込んだ水を使って、定期的にうがいをする「フッ化物洗口」は大丈夫でしょうか。幼稚園や小中学校で行われることもある予防法ですが、歯のフッ素症のリスクは限りなくゼロに近いといっても過言ではありません。
なぜなら、フッ化物洗口法では、うがいをした後に溶液を外へと吐き出すからです。つまり、身体にフッ素が摂り込まれないので、歯の発育にも一切影響を及ぼしません。フッ化物の歯面塗布も同様の理由から、歯のフッ素症の原因にはなりません。
歯のフッ素症の症状は、主にエナメル質に現れます。私たちの歯は、乳幼児期にエナメル質の発育が活発になっているからです。具体的には、歯に白色や褐色の異常が認められるようになります。発育と関連している病気なので、左右対称に異常が現れるのがわかりやすい特徴です。また、乳歯よりも永久歯で発症しやすい点にも注意しましょう。
ちなみに、歯のフッ素症では、耐酸性能やう蝕抵抗性が高くなります。この点においては、虫歯予防に寄与するといえますが、エナメル質の形成不全であることは間違いありません。歯やお口に生じるデメリットの方が圧倒的に多いので、予防すべき病気といえます。
このように、フッ素は取り扱いを誤ると、歯に深刻な異常をもたらすことがありますが、歯科医院で受ける処置は極めて安全です。また、フッ素濃度が高い歯磨き剤は飲み込まないように注意をすることは必要でしょう。