矯正治療は抜歯か非抜歯どちらが良い?
2019年4月17日
矯正治療のための抜歯には抵抗がある
矯正治療は歯並びを改善するための治療です。しかし、その矯正治療で抜歯が必要ですと言われてショックを受ける人は少なくありません。まして虫歯でもない健全な歯であれば抜くことに抵抗があるのは当然です。
しかし、矯正が必要な歯並びの悪さの原因の多くは顎のスペースが十分にないことです。たとえて言えば、ベンチシートを顎、歯を人と考えると3人掛けのベンチシートに無理やり4人が座っているような状態です。
スペースが十分ない状態で歯列を整える、つまり非抜歯の矯正を行うには、
・奥歯の方向に移動する
親知らずは元々抜歯されることが多く、永久歯28本の中には入りません。咀嚼に役立つことは少なく、虫歯や歯周病にもならないいわば厄介者です。親知らず抜歯だけで矯正を行うことができるのは良い方法ですが、歯の移動距離が大きくなりますし、親知らずの抜歯で十分なスペースが得られるとは限りません。一般的には非抜歯矯正は親知らず以外は抜歯しない矯正治療とされています。
・歯列を歪曲する
歯列はUの字ような形状をしていますが、Uの字の歪曲の度合いを強めることにより非抜歯を目指すことがあります。ただ、歪曲の度合いが大きいと歯列の戻りが起きる可能性が高くなること、場合により酷い出っ歯のようになってしまう失敗もありえます。
・歯を削る
歯の表層はエナメル質と呼ばれる硬い物質で覆われていますが、1歯で0.-0.3mmづつ削ることで、10本なら2-3mm程度のスペースを作ることができます。必要なスペースがそれほど多くない場合は適用できる方法です。
非抜歯矯正は適用できるケースではすぐれた方法です。叢生(そうせい)と言って歯が前後にばらばらにづれており、歯列を整えるスペースに問題が無ければインビザラインのIGOという3-6カ月で費用もずっと少なくてすむ矯正治療の可能性もあります。
IGOが適用可能なら3-6カ月で矯正治療ができます
非抜歯矯正か抜歯矯正かというのは二つの対立する方法があるというより、可能であれば非抜歯西、難しければ抜歯を行うと考えた方が良いでしょう。
矯正治療はIGOが適用できないようなケースは2-3年という長期の治療になります。また、矯正した歯列が戻るようなこともあります・抜歯、非抜歯の判断も含めセファロという矯正専用のレントゲン装置で得られたデータをコンピュータでシミュレーションを行うなど、しっかりした診断と治療計画を立てることが大切です。抜歯か非抜歯かで矯正治療の良し悪しを判断するのは避けるべきでしょう。
セファロ(左側)を備えたレントゲン装置
また、抜歯が必要になるのは、顎のスペースが足りないためです。永久歯の生える前、8歳前後で顎を広げる一次矯正を行うと抜歯の可能性はずっと小さくなりますし、矯正治療自体が不必要になることもあります。矯正治療は永久歯の生える前から始めるのが本当は望ましいと言えます。
小児矯正を行うことで抜歯の可能性を小さくできる