舌苔とは
2021年2月11日
自分の口臭が気になったときは、まず「舌」をチェックしましょう。舌の表面に白い苔(こけ)のようなものが付着していたら、臭いの原因となっている可能性が高いでしょう。それは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる物質で、歯垢とほぼ同じ成分によって構成されています。つまり、舌苔というのは食べかすや細菌の集合体なのです。
舌苔ブラシ
そこには代謝によって剥がれた粘膜上皮や食物由来のタンパク質が豊富なため、細菌による揮発性硫黄化合物(硫化水素・メチルメルカプタンetc)の産生も活発化しています。とくに、歯周病菌の一種であるF.n(Fusobacterium nucleatu)菌は、便の臭いに似た「スカトール」を作り出すことから、不快な口臭の原因となりやすくなっているのです。
また、舌苔は単に不快な臭いを発するだけではなく、「誤嚥性肺炎(ごえん)」のような感染症の原因となることもわかっています。というのも、咀嚼することで形成された食塊は、必ず舌を経由して咽頭へと運ばれていきますよね。その際、舌の表面に肺炎を引き起こす細菌が繁殖したらどうなるでしょうか。
食塊がそのまま食道へと運ばれるのであればそれほど大きな問題とはなりませんが、嚥下機能が衰えている高齢者ともなると話は変わります。口腔内細菌が食塊や唾液とともに喉頭や気管へと入り込んでしまうこともあるからです。そうして生じるのが誤嚥であり、引き起こされる病気が肺炎なのです。
舌苔が口臭の原因かどうかは口臭検査で明らかにできます。口臭が舌苔で引き起こされている時は、舌ブラシの使用法を受けることが必要です。舌ブラシは、舌の汚れを取るための専用器具なのですが、使い方を誤ると、むしろ感染のリスクを引き上げてしまうことがあるため注意しなくてはいけません。
このように、舌苔を「たかが舌の汚れ」とは考えずに、口腔内の健康状態のシグナルと考えて適切なケアを毎日行うようにしましょう。舌を清潔にすることで、口腔内環境のみならず、全身の健康維持・増進にもつながります。
中野の歯医者 マナミ歯科クリニック