2021年8月24日
歯が溶解する現象としては「う蝕」があります。う蝕はいわゆる虫歯です。歯にミュータンス菌など虫歯菌が感染することで発症する病気です。虫歯菌は歯に付着した糖質を分解して酸性の物質に変えます。歯は体の中のもっとも硬いエナメル質で覆われていますが、エナメル質の成分は石灰質で酸性の物質に侵されてます。これが虫歯の発生するメカニズムです。
う蝕の他に歯が溶かされるもう一つの原因は、酸蝕症(さんしょくしょう)があります。酸蝕症は虫菌は関与していません。食品に含まれる酸と身体の中から出てきた酸によって、歯が溶けていく現象です。つまり外因性と内因性の酸蝕症に分けられます。
外因性の酸蝕症は、炭酸飲料やワインなどを頻繁に口にすることで口腔内が酸性に傾き、歯質の脱灰が生じることで生じます。虫歯と異なるのは、糖質の物質では酸蝕症にはならず、ビタミンCなどを多く含む酸性のサプリメントや果物、梅干しなど、食品そのものが酸性のものを習慣的に食べることで酸蝕症を引き起こしやすくなります。
次に、内因性の酸蝕症についてですが、これは主に胃酸の逆流が原因となります。最もわかりやすいのが胃食道逆流症(GERD)で、胃と食道との境目が狭くなるなどして胃酸が逆流します。その他、過食症や拒食による習慣的な嘔吐によって口腔内が胃酸に晒され、歯の脱灰が進んでいくこともあります。胃酸のpH値は1.0~2.0であり、極めて強い酸であるといえます。拒食症で食べたものを嘔吐することを繰り返すと、酸蝕症で歯がボロボロになる例はよく見られます。
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