2023年11月6日
インプラントでは、歯茎が黒くなる症状に悩まされることがあります。その際、まず疑われるのが「メタルタトゥー」ですね。銀歯で見られる症状で、溶け出した金属イオンが沈着することで歯茎を黒ずませます。ただ、これは金銀パラジウム合金のような、比較的不安定な金属で起こりやすい現象なので、安定性の高いチタンを使うインプラント治療ではリスクの低いトラブルといえるでしょう。
次に疑うべきなのは「歯周病」です。進行した歯周病では、歯茎の血行が悪くなり、黒ずんで見えることがあります。さらに、歯茎と顎の骨の破壊が進むと、インプラントのアバットメントやフィクスチャー(人工歯根)といった金属部分が露出あるいは透けて見えるようになることで、歯茎の黒ずみの症状も強くなります。とくにインプラント周囲炎は、歯周組織の破壊が進みやすい点に注意が必要です。
喫煙習慣がある場合は、メラニン色素の沈着が疑われます。これはインプラント治療を行っているか否かに関わらず起こり得る症状です。また、タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は、歯周組織の血流を悪くすることで、歯茎を黒ずませることがあります。それに加えて喫煙は、インプラント周囲炎のリスクを顕著に増加させるため、原則としては禁煙するのが望ましいです。
ここまでは、インプラント治療からしばらく経過したケースを想定していましたが、治療直後から歯茎が黒い場合は、人工歯根の埋入位置や上部構造の形態の不良などが考えられます。インプラント治療直後から金属製のアバットメントやフィクスチャーが透けて見えているような状態は、必ずしも成功したとはいえないでしょう。ケースによっては、再治療が必要となります。
このように、インプラントで歯茎が黒くなった場合は、いくつかの原因が考えられます。いずれにしても歯茎が黒く見える状態は、正常ではありませんので、まずは主治医に相談することをおすすめします。必要に応じた適切な対処法をとることが大切です。インプラント治療後の歯茎の黒ずみは、審美面だけでなく、機能面や健康面も大きな悪影響をもたらしかねません。
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